最新のゲーム体験を追求するゲーマーやPCユーザーにとって、画質と動作の滑らかさは常に重要なテーマです。AMDが新たに発表したFSR Redstoneは、これまでのFidelityFX Super Resolution(FSR)シリーズを進化させた革新的な技術であり、機械学習を活用したフレーム生成やレイトレーシングに関わるレイ再生成技術を搭載しています。本記事では、AMD FSR Redstoneの主要機能を深掘りし、実際のゲーム画質比較や遅延ベンチマークの結果を分かりやすく解説します。最新GPUを活用した次世代の映像表現とパフォーマンスの可能性を知りたい方に必見の内容です。
この動画で学べること
- AMD FSR Redstoneの新機能とその概要
- 新しい機械学習ベースのフレーム生成モデルの画質比較
- Cyberpunk 2077やMarvel Rivalsでの実ゲーム映像による画質検証
- レイ再生成技術の効果とBlack Ops 7での実例
- フレーム生成がゲームプレイの遅延に与える影響とベンチマーク結果
AMD FSR Redstoneとは何か?
AMDは従来のFSR(FidelityFX Super Resolution)をリブランドし、新たに「Redstone」という名称で一連のテクノロジー群を発表しました。FSR Redstoneは単なる名称変更ではなく、機械学習(ML)を用いた新しいフレーム生成モデルや、レイ再生成(Ray Regeneration)、さらに将来的に導入予定のレイディアンスキャッシング(Radiance Caching)などの革新的技術を含むのが特徴です。
この新技術群は現時点ではAMDのRX 9000シリーズGPUでのみ公式対応しており、ゲームへの実装もまだ限定的ですが、特にフレーム生成に関しては既存の分析的手法から機械学習ベースへと進化し、画質の向上と動作の滑らかさを目指しています。
新機能の詳細と背景
機械学習ベースのフレーム生成
従来のFSR 3.1では「分析的(Analytical)」なフレーム生成モデルを使用していましたが、Redstoneではニューラルネットワークを活用した機械学習モデルに置き換えられています。このモデルは、前後のフレーム情報や深度、モーションベクトルを解析し、新しい中間フレームを生成。これにより動きの滑らかさを向上させつつ、ゴーストイメージやアーティファクトの低減を狙います。
レイ再生成(Ray Regeneration)
レイトレーシングのノイズを低減し、映像のリアリティを高めるための技術です。少ないレイでシーンをレンダリングし、機械学習によってノイズの多い画像を高品質なものへと再構築します。現状ではBlack Ops 7のマルチプレイヤーベンチマークで実装されており、水面の反射や光のエッジがより鮮明になるなどの効果が確認されています。
レイディアンスキャッシング(Radiance Caching)
まだゲーム実装はされていませんが、AMDが2026年頃に導入を目指す技術です。事前に機械学習モデルをトレーニングし、ゲーム内の光の振る舞いを推定することでレイトレーシングの計算負荷を大幅に削減。高効率なグローバルイルミネーションを実現します。
実ゲームでの画質比較
Cyberpunk 2077
動画内のブラインドテストでは、FSR Redstoneのフレーム生成ONとOFFの映像を比較。高速移動シーンでのシャープネスやモーションの滑らかさはほぼ区別がつかないレベルですが、細部をフレーム単位で解析するとRedstoneはゴーストイメージの軽減や光の不自然な発生が少ないことが確認されました。一方で、動きの速い背景ではややぼやけが生じる傾向もあります。
Marvel Rivals
Cyberpunkほど極端な差は見られませんが、Redstoneの方が影やエフェクトの揺れが少なく、特にキャラクターの動きで滑らかさが向上。逆に一部の場面ではフレーム生成特有のブラーやダブルイメージが見受けられ、完全無欠ではないものの総じて改善傾向にあります。
遅延(レイテンシー)ベンチマーク
高フレームレートを維持しつつ滑らかな動きを実現するフレーム生成技術ですが、映像処理の追加により入力から画面表示までの遅延が増加するリスクもあります。動画ではMarvel RivalsとCyberpunk 2077での遅延測定を実施。
- Marvel Rivalsではフレーム生成OFF時の平均遅延約15.7msに対し、Redstoneオン時は約20msへ約22%増加。
- Cyberpunk 2077は遅延が元々高めで、フレーム生成ONで4~8ms増加し、FPS制限時には更に遅延が増す傾向が見られました。
遅延低減技術(AMD Anti-Lag)との併用効果は限定的で、フレーム生成の遅延増加を完全に相殺するには至っていません。ゲームプレイでの体感に影響が出る可能性はあるものの、滑らかさとのトレードオフとして理解が必要です。
レイ再生成の実際の効果
Black Ops 7のマルチプレイヤーベンチマークでの比較では、水面反射や光の縁取りの鮮明さが向上。ノイズが減り、よりクリアな映像表現が可能になっています。ただし、対応タイトルが極めて限定的で、現時点での実用性は限定的です。将来的に対応ゲームが増えれば、レイトレーシングの高画質化に大きく貢献する技術となり得ます。
まとめと今後の展望
AMD FSR Redstoneは、既存のアップスケーリング技術を一新し、機械学習を活用したフレーム生成やレイ再生成といった先進技術を搭載した次世代の映像技術群です。現状では対応ゲームが限られ、遅延増加の課題も残りますが、画質の向上や滑らかさの改善という点で明確な進化を示しています。
特にレイディアンスキャッシングは2026年の実装を予定しており、今後のゲームグラフィックスに革命をもたらす可能性があります。ゲーマーや開発者はこれからのAMDの動向に注目しつつ、Redstone搭載GPUの活用を検討すると良いでしょう。
より詳しい技術解説やベンチマーク結果を知りたい方は、ぜひ動画もご覧ください。最新の映像技術の進展を感じ取れる貴重な内容となっています。