今やAIとデータセンター戦略がテクノロジー業界の注目の的となっていますが、AMDは2024年のCESで、AI関連の政府との協力や大規模サーバーソリューションを前面に押し出す一方で、消費者向けCPU「Ryzen 7 9850X3D」の華々しい発表をあえて避けるという異例の対応を見せました。本記事では、その発表内容の詳細と裏側にあるAMDの戦略、さらに新モバイルCPUやAIラック製品、ロボティクス分野への取り組みなど、CESで明かされたAMDの最先端技術を包括的に解説します。
この動画で学べること
- AMDがCES2024で展開したAI関連の政策と政府との連携
- Ryzen 7 9850X3D CPUのスペックと市場での位置づけ
- 新たに発表されたモバイル向けRyzen AI 400シリーズの特徴
- 大規模AIデータセンター向けHelios AIラックの詳細と性能
- AMDとGenerative Bionicsによるヒューマノイドロボット「Gene One」の紹介
AMDのCES2024におけるAI戦略と政府連携
CES2024におけるAMDの主役は、明らかにAI技術とデータセンターの展開にありました。AMDは、アメリカ政府のAI政策に深く関与し、規制緩和やデータセンター建設の迅速化を目指すなど、官民連携を強調しました。特にホワイトハウスの技術政策担当ディレクター、Michael KatziosがAMDのCEOリサ・スーと共に登壇し、AIのインフラ整備やエネルギー政策、国際的なAI輸出戦略について語る場面は印象的でした。
この発表では、AI研究・開発の障壁を取り除き、連邦政府主導で規制を統一する方針が示されており、各州のAI規制やデータセンター建設規制に対して厳しい姿勢が取られています。これにより、大規模データセンターの迅速な建設が期待され、AMDのサーバーソリューションの需要増加にもつながる戦略的な動きといえるでしょう。
Ryzen 7 9850X3D:消費者向けCPUの冷遇とスペック紹介
驚くべきことに、AMDはCESのメインステージで、直前に公式ウェブサイトで発表した注目の消費者向けCPU「Ryzen 7 9850X3D」について一切触れませんでした。8コア16スレッド、96MBのL3キャッシュを搭載し、最大ブーストクロックは5.6GHz(前モデル9800X3Dは5.2GHz)と、わずかながら性能向上が見られます。TDPは120Wで、性能差は主にクロック向上によるものと見られています。
AMDの発表によると、9850X3DはIntel Core i5-13600Kに対して最大27%の性能優位を示すとされていますが、これはすでに市場にある9800X3Dと比較すると数%程度の性能差に過ぎず、価格設定次第では消費者にとって選択肢として微妙な立ち位置になりそうです。
新Ryzen AI 400シリーズとモバイル向けの進化
AMDはまた、Zen 5とRDNA 3.5、XDNA2アーキテクチャを採用した新モバイルCPU「Ryzen AI 400シリーズ」を発表しました。最大12コア、最大5.22GHzのブーストクロックをもち、AI推論性能を示すNPU(ニューラルプロセッシングユニット)も搭載しています。AMDはマルチタスク性能やコンテンツ作成、ゲーム性能の向上をアピールしていますが、価格や詳細な性能評価はまだ不明です。
また、同シリーズの一環として、AIローカル開発向けのミニPC「Ryzen AI Halo」も発表され、AI開発者向けの小型ソリューションとして注目されています。
Helios AIラック:AI時代のサーバーインフラ最前線
AMDがCESで最も力を入れて紹介したのが、「Helios AIラック」と呼ばれる大規模なAIサーバーラックです。Metaが提唱したOpen Rack Wide仕様に準拠し、18台のダブルワイドコンピュートトレイを備え、合計72基のMI455X GPUを搭載。総重量は約3.2トンと、車2台分にも匹敵します。
各トレイには4基のGPUと1台のEpic Venice CPU、800GbpsのEthernet AI NIC、DPUが液冷で搭載されており、72基のGPUが単一の計算ユニットとして連携動作可能。メモリは31TBのHBM4を搭載し、総GPUコア数は18,000、CPUコア数は4,600に及びます。これにより、AI処理のための巨大な計算資源を一台で提供し、今後のAI開発やデータセンター市場での競争力を強化しています。
ロボティクス分野への新展開:Gene One
AMDはCESで、ヒューマノイドロボット開発企業Generative Bionicsと協力し、「Gene One」という人間のような触覚を持つロボットを紹介しました。Gene Oneは圧力や接触、意図を感じ取れる触覚センサーを搭載し、医療や介護などで患者のケアを支援する用途を想定しています。この発表は、AMDがAI技術を単なる計算処理に留まらず、リアルワールドの応用にも積極的に展開していることを示しています。
まとめ:AMDのCES2024発表から見える今後の課題と展望
CES2024におけるAMDの発表は、消費者向けCPUの存在感が薄い一方で、AIとデータセンター、政府との連携に重きを置いた戦略が鮮明でした。Ryzen 7 9850X3Dはスペック上は微妙なアップデートに留まり、市場での評価や価格設定が注目されるところです。
一方で、Helios AIラックのような巨大インフラの提案や政策面での動きは、AMDがAI時代の基盤技術供給者としての地位を確立しようとしていることを示しています。ロボティクス分野への進出も含め、今後の開発動向から目が離せません。
最新のAMD情報やCES2024の詳しい内容を知りたい方は、ぜひ動画本編もチェックしてみてください。
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