パソコンのグラフィック性能を劇的に上げるためにかつて注目されたSLI(スケーラブル・リンク・インターフェース)技術。しかし、NVIDIAはこの技術を徐々に廃止し、最新のGPUではそのサポートもなくなってきています。この記事では、約4年前に発売されたハイエンドGPU「RTX 3090 Ti」を2枚搭載したPCと、最新の「RTX 5090」を比較し、SLIの実際の性能や使い勝手、そしてなぜSLIが廃れてしまったのかを解説します。ゲーマーだけでなく、ハイエンドPCユーザーやAI用途にも興味深い内容です。
この動画で学べること
- NVIDIAのSLI技術の仕組みと歴史
- RTX 3090 Tiデュアル構成の性能と問題点
- 最新GPU RTX 5090との比較と進化ポイント
- SLIが廃れた背景と今後のGPUマルチ構成の展望
SLIとは何か?その魅力と限界
SLI(スケーラブル・リンク・インターフェース)は、複数のGPUを連携させて描画性能を向上させる技術です。NVIDIAが2004年に3Dfxから取得し、長年ゲーマーやエンスージアストに支持されてきました。2枚のGPUが協力してゲームのレンダリングを分担し、理論上は2倍の性能を狙います。
しかし、実際にはGPU同士の通信や同期に時間がかかり、理想的な2倍の性能は得られません。また、ゲームやアプリケーションの対応状況も限定的で、マイクロスタッタリング(フレームの不規則な遅延)といった問題もありました。
RTX 3090 Tiデュアル構成の実際の性能
動画ではRTX 3090 Tiを2枚搭載したシステムを構築し、性能を検証しました。3090 Tiは2022年ごろの最上位GPUで、24GBのGDDR6Xメモリと約10,000のCUDAコアを搭載しています。2枚のカードをNVLinkブリッジで接続しSLI動作させることで、ベンチマーク上はグラフィック性能がほぼ2倍に近いスコアを記録しました。
ただし、実ゲームでは以下のような課題が浮き彫りに。
- 対応ゲームが少なく、最新タイトルではSLI設定が無効化されているケースが多い
- マイクロスタッタリングにより、フレームレートが高くても体感は滑らかではない
- 電力消費が非常に高く、熱も激しくファン音も大きい
- トラブルシューティングが複雑で、ゲームごとに設定調整が必要
これらから、昔のSLIの夢は現実的な使い勝手に結びついていなかったことがよく分かります。
RTX 5090の登場と進化ポイント
最新のRTX 5090は、3090 Tiと比べてCUDAコア数が倍以上、メモリは32GBのGDDR7を搭載し、メモリ帯域幅も大幅に向上しています。性能は2枚の3090 Tiを組み合わせるのと同等かそれ以上でありながら、消費電力は大幅に抑えられています。
また、最新GPUはマルチフレームサンプリングや最新のレイトレーシング技術、AI技術(Tensorコア)での高速化が進んでおり、ソフトウェア面でも大幅に強化されています。このため、単一GPUでの高性能化が、複数GPUの組み合わせに取って代わりつつあります。
なぜSLIは終焉を迎えたのか?
SLIが徐々に廃止された理由は多岐にわたります。
- ゲーム開発者側の対応が減少し、マルチGPU対応が限定的になった
- 電力消費と熱問題が大きく、ユーザーにとって実用的でなかった
- ドライバーのサポートが縮小され、設定も難解になった
- 最新GPUのシングル性能向上により、複数GPUのメリットが薄れた
動画では、SLIは今やほぼ歴史の一部となり、残るのはAI用途やワークステーション向けのNVLinkを使ったプロフェッショナルGPUのみだと解説されています。
まとめ:SLIは魅力的だったが、今はシングルGPUの時代
SLIはかつて革新的な技術であり、複数GPUで性能を引き上げる夢を見せてくれました。しかし、現代のゲーム環境やGPUの進化速度を考えると、SLIは非効率で使いにくい技術となってしまいました。
最新のRTX 5090は単一GPUでの高性能化を実現し、消費電力や熱、対応ゲーム問題もクリアしています。ゲーマーやクリエイターの多くは、今後は高性能なシングルGPUを選ぶべきでしょう。
ただし、AI研究者やハイエンドワークステーションユーザーは、依然としてマルチGPU環境を必要としており、その分野ではNVLinkなどの技術が活用されています。
この動画を通じて、GPU技術の進化と市場の動向を理解し、ご自身のPC環境選びの参考にしてください。
詳しいベンチマークやトラブルシューティングの様子、熱測定なども動画内で詳細に解説されていますので、ぜひ実際の映像もチェックしてみてください!